進化するゲーミフィケーション

ゲーミフィケーション(Gamification)はオンラインマーケティングの中で最も新しいバズワードです。今のところ日本語のWikipediaには項目がないようですが、遅かれ早かれネクストビックトレンドとしていろんなメディアで取り上げられると思います。現在のところでは、NHKのハイビジョン特集「ゲーム・レボリューション(2) 賢者の予言」や日本経済新聞サイト「ゲームで社会をよくするゲーミフィケーション」、GQ JAPAN「マーケティングの最新トレンド、ゲーム化戦略とは」などで登場しています。

ゲーミフィケーションにはいくつかの定義が存在しますが、わかりやすい定義は「ゲームではないアプリケーションやWebサイトなどにゲームのメカニズムを利用すること」というものです。ゲーミフィケーションのメカニズムとしては、上記のNHK番組や日経新聞サイトにも登場しているゲームデザイナーであり昨年のTEDでのスピーチ(Jane McGonigal: Gaming can make a better world)が有名なジェーン・マクゴニガル氏の説明がわかりやすくて代表的なものです。

ゲーミフィケーションを機能させる4つのメカニズム

(1)しつこいまでの楽観性

Urgent Optimism – extreme self motivation. The desire to act immediately to tackle an obstacle combined with the belief that we have a reasonable hope of success.

(2)ソーシャルな構造

Social Fabric – the idea that people like one another better after they’ve played games with them, have a higher level of trust and a great willingness to work together.

(2)至福の生産性

Blissful Productivity – the idea that playing in a game makes you happier working hard, than you would be relaxing. Essentially, we’re optimized as human beings by working hard, and doing meaningful and rewarding work.

(4)叙事詩的な意味付け

Epic Meaning – players will be highly motivated if they believe they are working to achieve something great, something awe-inspiring, something bigger than themselves.

ジェーン・マクゴニガル氏のメカニズムから考えると応用範囲がやや限定的になってしまいますので、今回はWikipedia「Gamification」で挙げられている「達成したときにもらえるバッジ、レベル分け、プログレスバーなどによるプロセスの可視化、仮想通貨、クエストや表彰、バーチャルグッズのトレーディングやギフト交換、ユーザー間の競争、カジュアルゲームの挿入」などの要素からの応用を想定したいと思います。

現在のところ広がりが目立つのはWebメディア企業によるゲーミフィケーションの導入です。日経ビジネスオンライン「ゲーミフィケーションでウェブサイトを活性化」(※閲覧には会員登録が必要です)が詳しいですが、Webサイトにユーザー同士のポイント獲得競争やバッジなどのバーチャルグッズを付与するfoursquare的ゲーム要素のレイヤーを加える分野です。

■BUNCHBALL http://www.bunchball.com/

BUNCHBALLは同社が開発するNitroというプラットフォームを利用して、Webサイトにゲーム的な要素を加えるサービスを展開しています。最近の事例では、チキータのバナナをプロモーションするサイト「Make Your Way to Rio」というサイトでNitroが利用されています。動画を観る、Facebookにポストする、などのユーザーの行動に応じてバッジや隠しコンテンツ、さらにはリオ・デ・ジャネイロへの旅行ツアーやXboxなどのごほうびをあげるというものです。現在までに30,000を超えるバッジがユーザーの手に渡ったとのこと。プロモーションコンテンツを消費させるためにゲーム的なメカニズムを応用する手法すでに日本でもたくさんの事例があると思いますが、同社のようにWebサイトにおけるレイヤーとして展開している事例は少ないのではないでしょうか。

[参考:PROMO Magazine「Missions, Leader Boards, News Feeds Style “Rio” Sweeps Site」

■BIGDOOR http://www.bigdoor.com/

BIGDOORもBUNCHBALLと同様にWebサイトにおけるメディアコンテンツ消費にゲーム的な要素を加えるサービスです。最近の事例では、米国のメディア・コングロマリットであるHearst社が展開する男性向けのエンターテインメントWebサイト「UGO.com」で採用されたそうです。同社では広告コンテンツを消費するユニットを展開し、利用料を無料として、「クエストごとのコスト(Cost Per Quest)」という方式でWebサイト収益をレベニューシェアしていくビジネスプランをもっているとのこと。おもしろいアプローチだと思います。[参考:AllThingsD「BigDoor Seeks to be the AdSense of Gamification」

■Badgeville http://www.badgeville.com/

Badgevilleはその名の通りWebサイトを訪問すればするほど位の高いバッジがもらえるというシンプルなサービスで、基本的な構造はBIGDOORやBUNCHBALLと同じです。現在のところ50ぐらいのサイトで横展開をしています。FacebookやTwitterとの連携がスムーズな点やユーザーとのエンゲージメントやトラッキングが主眼に置かれている点が特徴です。[参考:Inside Facebook「Badgeville Helps 50 More Websites Gain Facebook Likes and Engagement」

その他のゲーミフィケーション事例も簡単に挙げたいと思います。例えば、米国フォード・モーター社の中型セダンFord Fusionの「SmartGauge」は、燃費効率のよい運転をすればするほどグラフィック上の植物が育つという簡単なゲーミフィケーションで、運転する人の気持ちを変えようとしています。「Freerice」では教育的なゲームを通じて世界の飢餓について学びます。「Nike+」はゲーミフィケーションをエクササイズに応用しているといえるでしょう。

ゲーミフィケーションは応用範囲が広く、社員教育、福祉、金融、ショッピング、教育、スポーツなどNOTEではとても取り上げきれないぐらい事例があります。ぜひ、英語サイトで「gamification」を検索してみてください。

「foursquareの何がおもしろいのか、よくわからない。バッジとかもらって意味あるの?」とおっしゃる自分より年上の人の方のお話を聞き、びっくりした覚えがあります。日本にも位置情報ゲームならばコロプラ(コロニーな生活☆PLUS)などがありますが、ゲームのおもしろさがわからないって言うこと自体がよくわからなかったりする人は多いんじゃないでしょうか。そんな世代の皆様、ゲーミフィケーションをいろんな分野に応用して社会を動かしちゃいましょう。きっと楽しい世の中になります。

なお、もし事実誤認などがございましたら、Twitter(http://twitter.com/ro_mi)やFacebook(http://www.facebook.com/hiromi.kubota)などでお知らせいただけると大変に助かります。また、ご意見や感想などもいただければとても参考になります。

(初出:2011/4/14「NOTE by Hiromi Kubota」

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