「マンガアプリ」失敗の本質

パラパラと雑誌を読んでいると、1つのグラフが目を引きました。マンガアプリの上位5社のユーザー数を比較した図です(日経BP『日経エンタテインメント!』2021年7月号、93頁より引用)。

「LINEマンガ(LINE)」が615万人(前年比123.5%)、「ピッコマ(Kakao Japan)」が511万人(同168.6%)の2強が他マンガアプリを圧倒しています。

3-5位は「少年ジャンプ+(集英社)」が229万人、「マンガワン(小学館)」が182万人、「マガポケ(講談社)」が181万人と、いわゆる3大出版社が並びます。

不思議に思ったのは、2強の着実なユーザー数の伸びに比べて、3大出版社の伸びが鈍化していたことでした。なぜでしょうか?

マンガアプリは2種類ある

国内には100超のマンガアプリがあります。3大出版社は上記のアプリだけを提供しているわけではありません。つまり、鈍化の理由は「3大出版社のほかマンガアプリにユーザーが流れている」かもしれないことでした。

「LINEマンガ」「ピッコマ」は、いわゆるデジタルマンガのプラットフォームです。2強は複数出版社の作品を横断的に扱い、たとえば「LINEマンガ」は約43万点の品揃えです。プラットフォーム型は、1つのアプリに経営資源を集中させます。

一方で、たとえば集英社のマンガアプリには、少女漫画の「マンガMee」(94万人)、人気漫画を集めた「ゼブラック」(93万人)、週刊誌発の「ヤンジャン!」(86万人)などコンセプトによってアプリがあります。ブランド・ターゲットごとに紙のマンガ雑誌が分かれている名残りだと思いますが、小学館・講談社も同じコンセプト型で運営しており、読者が分散しています(94頁より引用)。

つまり、3大出版社はコンセプト型なので少年漫画や少女漫画など、ユーザーがアプリごとに分かれています。

そう考えると「43万点も作品があれば、ユーザーがたくさん集まるのは当たり前だ」「集英社・小学館・講談社のユーザー数を合わせれば、プラットフォーム型のLINEマンガやピッコマに負けてない」という結論になります──本当にそうでしょうか?

もちろん、作家・編集者が協力なタッグを組み、本当にすばらしい漫画作品を創り続ける出版社のみなさんには、リスペクトしかありません。しかし、もし「アプリの総ユーザー数・総ダウンロード数」が重要と考えているなら、それは間違った勝利の条件です。見過ごすことはできません。繰り返される日本の「失敗の本質」です。

出版社のマンガアプリ戦略は、なぜ失敗する可能性があるのか? わかりやすく説明するためには、約6万点の少数作品でもユーザー数を劇的に伸ばしている「ピッコマ」を解説するのが最適です。今回は、いま最も勢いのあるマンガアプリ「ピッコマ」を例に、マンガアプリ市場の未来をいっしょに考えましょう。

ピッコマが市場に評価される3つのポイント

「ピッコマ」を運営するのは、韓国最大のメッセージングアプリ「カカオトーク」を運営するカカオが2011年に日本法人として設立したカカオジャパン。同社売上の大半がピッコマによるものです。

LINEは、同じく韓国系のNHN Japanとネイバージャパン、そしてライブドアが経営統合して誕生しました。2021年3月にZホールディングスと経営統合しましたが、LINEとカカオジャパンの成り立ちは似てます

LINEは国内で8800万人のユーザーを抱えているので、LINEマンガの優位は圧倒的でした。ところが、LINEマンガの累計ダウンロード数が3200万DLに対して、ピッコマは2700万DLまで追い上げています。後発ながらすごい勢いです。

注目されたのは、日本法人のカカオジャパンが企業価値8000億円超の評価で、約600億円を調達したことでした。日経新聞は「フリマアプリのメルカリの時価総額と並ぶ規模」と報じました。マンガアプリはメルカリと同じぐらい有望だと市場から判断されたのです。

マンガアプリ「ピッコマ」は、なぜ市場から高く評価されるのでしょうか? 私は次の3つに集約されると考えています。

  1. 絶妙な「待てば無料」:フリーミアム
  2. 「作品専用チケット」という切り札:マッチング
  3. ウェブトゥーンの衝撃:グローバル化

①絶妙な「待てば無料」:フリーミアム

マンガアプリは、決まった時間を「待てば無料」で作品を読める仕組みなどが普及し、ユーザーが一気に拡大しました。「待てば無料」は、無料で広くユーザーを集めて一部のユーザーに課金する、いわゆるフリーミアム(Freemium)モデルです。

すぐに思い浮かぶのは、スマホゲームの「基本プレイ無料(Free-to-play)」、そしてYouTube(動画)やSpotify(音楽)など無料ユーザーに広告を挿入して、広告を見る時間が嫌ならおカネを払うという「定額課金(Subscription)」です。

でもマンガアプリは、そのどちらでもありません。「待てば無料(Wait-to-read)」です。では、どういうビジネスモデルでしょうか? 例を挙げましょう。新田たつお『静かなるドン』です(ピッコマより引用)。

1988-2013年に『週刊漫画サンデー』で連載され、全108巻で累計発行部数4500万部を超えます。発行元の実業之日本社にとっては『静かなるドン』は過去作ですが、実は同社の2020年度の過去最高益につながったことが出版業界で話題となりました(「新文化」より引用、太字は筆者)。

第115期(2020.2.1~21.1.31)の決算概要を発表した。売上高は29億5200万円(前年比8.7%増)。営業利益は5億9400万円(同27.7%増)、(中略)16年4月にシークエッジ・グループの一員になって以来、過去最高益を更新した。108巻で計4000万部を超えるコミック、新田たつお「静かなるドン」が、電子ストア「ピッコマ」での仕掛け販売をきっかけにヒットして大きく貢献した。その売上げ(実業之日本社への入金額)は、当期だけで6億円を超えたという。

同社全体の売上の5分の1がピッコマでの『静かなるドン』の売上になる計算ですが……なぜ?

ピッコマで同作を読んだ人なら知っていると思いますが、全108巻のうち10巻までは待たなくても読めます。そして24時間を待てば1話が読める「待てば無料」は折返し地点の53巻まで。以降の54-108巻は1話29コイン(約29円)です。つまり、1巻を11話で計算すると全部を読むのに約1万7500円かかります。

ところで、10-53巻までを「待てば無料」にすると、なんと読むのに473日もかかります。(人によっては)恋人より長い時間を主人公の近藤静也と過ごすのですから、好きにならないわけがない(たぶん)。24時間後に彼と会うのが待ち遠しい気持ちになるはず(新田たつお『静かなるドン』第100巻カバーより引用)。

よりアカデミックな視点で見れば、待てば無料(Wait-to-read)モデルには2つの効果があります。

1つは、マンガの〈キャラクター〉と繰り返し接することで好意度が高まる「単純接触効果(mere exposure effect)」です。習慣的に見ている「朝のニュース番組のアナウンサー」や「YouTuber」を好きになるのといっしょですね。

もう1つは、マンガの〈ストーリー〉を読むことを途中でやめると、費やした時間が無駄になるため、完結するまで読もうとする(課金する)「サンクコスト(sunk cost)効果」です。ここでいうサンクコスト(埋没費用)には「おカネ(資金)」と「時間(労力)」があります。

さて、出版社の取り分は6億円でしたが、ピッコマの売上に換算すると倍の12億円ぐらいでしょうか。単純計算ですが、12億円を1万7500円で割ると約6万8500人の読者が1年間で「静かなるドン」全巻読破に課金したことになります。ピッコマのユーザーの母数を考えると、十分にあり得る数字です。

『静かなるドン』は仕掛け販売された極端な例ですが、ピッコマは「待てば無料」の絶妙なコントロールで全体の売上を伸ばしていると推測できます。

②「作品専用チケット」という切り札:マッチング

「どのマンガアプリでも『待てば無料』と同じような仕組みがあるはず」と思われた方は鋭いです。実は、ピッコマの「待てば¥0」は、他マンガアプリと少しだけ違う点があります。

他マンガアプリは、決まった時間を待てば、好きな作品を無料で読めるポイントやコイン・メダルなどが配布されます。一方で、ピッコマは作品ごとに24時間「待てば無料」で1話が読める仕組みです。いわば「作品専用チケット」という概念が存在するのです。なぜか?

カカオジャパン代表取締役社長の金在龍(キム・ジェヨン)氏は、2019年5月23日のプレゼンテーションで、「作品専用チケット」が存在する意味を解説しています。

最大の理由は「全体のボリュームよりも、作品1つひとつを管理、運営していくことを理念としているから」と述べており、実際のプラットフォーム運営については次のように説明しています(太字は筆者)。

専用チケットをどんな形で運営しているのかという、実際の事例です。先ほどのように読者データを分析して、特定の読者に特定の作品をお勧めして、チケットを送っています

例えばですが、ある作品は10話までは非常に閲覧が順調に伸びるのに、11話から離脱が激しくなるといったことがあります。ところが、12話、13話を続けて読んだ人は最後まで読むということがあったりもするので、その場合は、11話で離脱した人だけを抽出して、専用チケット1枚をプッシュします

専用チケットがなく、コインしかなければ、コインを送っても、私たちが運営したい作品に使われない可能性が高い。どんなところでも使えるコインでは作品の運営ができないと思っています。

そして、ある作品で1週間の実験を行った結果を公表していました。次の写真にある数字です。(「THE21オンライン」より引用)

写真左は「再閲覧誘導」です。ある作品で離脱した約36万人に、その「作品専用チケット」を送ったところ、46%がチケットを使って約441万円を売り上げました。

写真右は「FRU誘導」です。まだ作品を読んでいないけれど「読む可能性が高いユーザー」を約30万人を抽出して「作品専用チケット」を送った実験結果です。13%がチケットを使い、約161万円を売り上げたそうです。

この話のポイントは、ピッコマが「作品専用チケット」を巧みに運用することで、(1)ユーザーの離脱を防ぎ、(2)潜在的読者と作品を出会わせる(マッチングする)ため、切り札として利用しているということです。

プラットフォームビジネスの大前提は、供給側(Supply side)の品揃えの豊富さ(作品数の多さ)です。その一方で、作品数の多い(約43万点)LINEマンガを、作品数の少ない(約6万点)ピッコマが追い上げています。

つまり、デジタルコンテンツのプラットフォームにおいて最も重要なのは、作品とユーザーが出会う機会を提供するための「マッチング(Matching)」です。

Netflixがユーザーごとに作品のカバー画像を変えていること(パーソナライズ)は有名なですが、ピッコマもユーザーごとに表紙を変えているそうです(太字は筆者)。

表紙を変えるだけでも、それまでその作品を選択していなかった人が、その作品を選択するケースがあります。キャンペーンも何もしていない状況で、表紙だけで、売上げが1日30万円、40万円変わるケースもかなりあります。

それだけ作品とユーザーとのマッチングに全力で取り組んでいるということです。さらに、プラットフォームビジネスでは当たり前の話かもしれませんが、ピッコマはAI技術によるレコメンドも強化してます。なお、ピッコマの成功を見て、他マンガアプリも同じ「作品専用チケット」の仕組みを導入するケースが増えているようです。

③ウェブトゥーンの衝撃:グローバル化

ピッコマはなぜ市場価値8000億円と高く評価されるのか? 言ってみれば①と②はプラットフォームビジネスとしては当たり前の話でした。出版関係者にとってショッキングな話はここからです。

ピッコマには、韓国生まれの縦読みマンガ「ウェブトゥーン(Webtoon)」が約600作品ほどありますが、全体の1%に過ぎません。ところが、ウェブトゥーンはピッコマ全体の販売額のうち45%程度を占めるいうのです。前述の金在龍(キム・ジェヨン)氏は、次のように述べています。

まだ日本漫画の根幹は出版です。だが、ウェブトゥーン形式が読みやすい、速度感があるなど差別化された長所に気づく読者は増えています。

ピッコマで有名なウェブトゥーン(同アプリ内ではSMARTOON)作品に、「人類最弱兵器」と呼ばれる主人公が最強ハンターへと成長していく姿を描いたファンタジーアクション『俺だけレベルアップな件』があります。全151話(2021年6月現在)の累計売上は約20億円(200億ウォン)超えました(ピッコマより引用)。

ほかにも、Netflixのオリジナルドラマとして世界中で大ヒットした『梨泰院クラス』原作マンガの日本版『六本木クラス』などがあります。

ピッコマがアプリ内で自社のウェブトゥーン作品を強力にプロモーションしているのは間違いありません。ですがピッコマは日本国内のユーザーがメインのはず。それにもかかわらず、売上全体の約45%が縦読みマンガのウェブトゥーンだというのは衝撃です。

「横読みか、縦読みか、表現形式のこだわりなんてどうでもいい」そう言ってしまう出版関係者も中にはいますが、ウェブトゥーンはマンガ産業そのものを大きく変える可能性があります。理由は2つです。

第一に、縦読みのウェブトゥーンが主流になれば、漫画家になるためのハードルが下がります。横読みマンガ制作のなかで、実は高度な技術を要するのは「コマ割」です。枠線で区切られた絵(コマ)を、どのぐらいの大きさで、どのように配置するのか。アマチュア漫画家にはとてもむずかしい技術です。

一方、縦読みのウェブトゥーンは、韓国のアマチュア漫画家たちがウェブサイトで自分のマンガを掲載したことから始まりました。初期のウェブトゥーンは、マンガ的な絵と短いナレーションのみで構成するシンプルなものだったので、アマチュア漫画家だけではなくデザイナー、イラストレーターなども参加し、そもそも表現の敷居が低いものでした。

現在のウェブトゥーンは、もちろん表現形式としては高度に進化しています。でも、横読みマンガの「コマ割」技術のハードルの高さに比べると、少なくてもアマチュア漫画家にとって縦読みのウェブトゥーンは描きやすいものだと思います。

第二に、縦読みのウェブトゥーンが主流になれば、海外の読者がマンガを読むためのハードルが下がります。横読みマンガは、1ページ内を右から左に、上から下に読み進めるものですが、横書きマンガの読み方を自然に身につけているのは紙のマンガを読む日本人だからです。

また横読みマンガには版面(印刷される範囲)があるため、吹き出しの位置や大きさにある程度の制約があります。一方、縦読みのウェブトゥーンにはコマとコマの間に余白があるため、吹き出しの位置や大きさが調整がしやすいと考えられます(ピッコマ『俺だけレベルアップな件』第一話より引用)。

マンガアプリ、そしてマンガ自体が今後グローバル化していった場合、セリフや説明書きの長さは言語により変わります。つまり、吹き出しの位置や大きさが調整しやすいと多言語で展開しやすくなるため、縦書きのウェブトゥーンの方が海外の読者にとって読みやすくなると考えられます。

約600億円の資金調達を終え、カカオジャパンはこれからグローバル市場にマンガアプリを広めていくと見られています。しかし、国内市場でさえ販売額の約45%がウェブトゥーンですから、海外市場では日本の作品がほとんど売れないという悪夢を思い浮かべてしまいます。これから先、日本のマンガはガラパゴス化していくのでしょうか。

Q&A:よくある質問

ここまで、ピッコマがなぜ市場で高く評価されるのかについて、「フリーミアム」「マッチング」「グローバル化」という3つの観点から解説しました。きっといろんな疑問があると思いますので、「よくある質問」に先に答えておこうと思います。

──それでも出版社のマンガアプリは、総ダウンロード数では負けてないのでは?

ここまでの解説でミスリードがあったとしたら、すいません。重要なのはダウンロード数ではなく、売上と利益です。ピッコマには、市場価値8000億円と投資家が評価するだけの売上・利益の伸びがあると推測できます。出版社のマンガアプリ事業の数字が公表されていれば、ぜひ比較したいです。

──日本のマンガの売上規模は世界全体より多いので、事実上のグローバル・スタンダードと言えるのでは?

2020年のコミック(紙+電子)市場規模は6126億円(前年比23%増、出版科学研究所調べ)と絶好調です。一方で、日本を除く海外市場の規模は2000億円前後(経済産業省調べ)と見られるので「その通りだ」とも言えます。

ただ国内市場だけを見ていると、かつて携帯電話で圧倒的な規模と利益を上げていたNTTドコモの「iモード」という大発明が、AppleのiPhoneに市場を奪われていった歴史を思い出してしまいます(詳しく知りたい方は『平成ネット史』をご参照ください)。

日本人以外の作家や読者にとって利点のある「縦読みのウェブトゥーン」が広がれば、横読みマンガのビジネス上の機会損失は大きくなっていくでしょう。どこかで均衡が崩れる瞬間が訪れるような気がしてなりません。

──出版社の強みは「新作・オリジナル作品を創るチカラ」だ。ウェブトゥーンより日本のマンガの方が面白いのでは?

個人的な感想ですが、日本のマンガの方が面白いです。しかし、ここで議論したいのはクリエティビティの優劣ではなく、ビジネスの構造上の問題です。

マンガのグローバル化により、横読みマンガをつくること自体が機会損失につながる時代になれば、(文化的な判断ではなく)経営判断として「縦読みウェブトゥーンをつくりなさい」となります。iモードからスマホアプリに舵を切るのと同じです。

さらに言えば、「海外の人たちに喜んでもらえる」というモチベーションはクリエイターにとって非常に大切なものです。出版社にどれほど優秀な編集者がいたとしても、漫画家のインセンティブ(おカネ)とモチベーションに逆らうものでしょうか。あるいは、優秀な編集者はそうなる前に独立してしまうかもしれません。

「新作・オリジナル作品が読める!」と、いくら国内のマンガアプリ同士でシェアを奪い合っても、部分最適が進むだけで、いつの間にかグローバルでの全体最適を見失う可能性があります。

──集英社は「MANGA Plus」を立ち上げて、グローバル市場で勝負しているのでは?

「MANGA Plus」は、英語・スペイン語・タイ語・インドネシア語・ポルトガル語の5言語で、ジャンプ各誌の連載を日本と同時公開する試みですが、すばらしい取り組みだと思います。

作品のチカラでプラットフォームビジネスに立ち向かった例としては、動画配信サービスのNetflixに挑んだ「Disney+(ディズニープラス)」があります。ディズニー、ピクサー、マーベル、スター・ウォーズ、ナショナルジオグラフィックが束になり、2019年11月のスタート。2021年3月に加入者は1億人を突破しました。

ところで、映画の世界歴代興行収入トップ10のうち、9作品がウォルト・ディズニー・カンパニーの系列だということをご存知でしょうか(2021年6月現在)。そのほとんどがDisney+で見られます。

では「MANGA Plus」ではすべての作品が読めるのでしょうか? 集英社、小学館、講談社が束になる必要はないでしょうか? マッチングの運営ノウハウやAI技術はあるでしょうか? まだ課題が多いと感じます。

「マンガアプリ」失敗の本質

本記事の総括として、日本の組織論に示唆を与える名著「失敗の本質」(ダイヤモンド社)より、簡潔に要約された表を引用させてください。

出版社のマンガアプリに、明確なグランド・デザインはあるのでしょうか? 総ダウンロード数は伸びているのかもしれませんが、複数のマンガアプリに読者が分散することで、作品と読者のマッチング機会が失われているように思えます。

グランド・デザインがない場合、戦略オプションは限定された範囲のなかでしか生まれません。国内のマンガアプリを調べる中で、真っ先に思い出したのがこの表でした。悪い予感にならないことを願ってます。

最後に。ここまで書いてきたのはマンガアプリにおけるビジネス構造の変化についてでした。ビジネスの勝ち負けは売上と利益で決まります。ですが、その一方でマンガという作品においてはそれがすべてだとも言い切れないと思いました。

連続起業家のけんすうさんはアルで漫画家とファンを結び、非連続な価値創造をしています。講談社を出てコルクを創業した佐渡島庸平さんは、マンガという表現で今もトライ&エラーを続けています。

プラットフォームビジネスの勝者がどこであろうが、いい作品が創れればそれでいい。クリエーターや編集者が最優先すべきは作品です。クリエイティブに失敗はありません。ぜひ、歴史に残る作品を創ってください。

あとがき

KOMUGIの記事はいつも「長すぎ」と言われますが、今回も相当でしたね…。いつもすいません。そして最後まで読んでいただき、大変にありがとうございます。

私も出版社の編集者だったこともあり、いつも以上にたくさん調べて「情報を詰め込んだ感」があります。なるべく情報を圧縮しましたが、読みづらかったら次回はカイゼンします。遠慮なくご指摘ください。

今回の記事は、マンガ市場への「漠然とした不安」を言語化で整理して、ビジネス上の論点をクリアすることが目的でしたが、うまく伝わったでしょうか?

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ではまた次回。